この記事は、”有価証券の全体論”が学べる記事です。
簿記を学習の方、有価証券について調べていた方に参考になるかと思いますので、ぜひ最後まで読んでいってみてください。
いつも勉強させていただいていて、今回も参考にさせていただいた方の動画です↓
そもそも有価証券とは何か?
まずは、「そもそも有価証券とは何か?」というお話です。
結論、有価証券とは以下のことを指します。
有価証券とは、株式や債券(社債や国債や公債など)や投資信託などのことです。
つまり”価値の有る証券”となります。
続いて、「株式」「債券」についての説明をしていきます。
株式と債券について解説
初めに、株式と債券について簡単に説明していきます。
株式とは?
株式とは何か?を説明していきます。
株式とは、株主たる地位・資格のことで、それを表象したものが株券と言います。
株主になると、①配当金がもらえる②株主総会に参加して意見を言える③精算時に残余財産を受け取れるといったメリットがあります。
※現在では紙の株券を発行しないことが原則
そして、株式を保有していると配当金を受け取ることがあります。
例えば、A社の株式を保有している場合、A社の業績が良かった場合などに株主に対して配当金が支払われることがあり、「保有しているA社の株式について、配当金領収書(10,000円分)が郵送されてきた」ら、簿記上の仕分けはこうなります↓
現金 10,000/受取配当金 10,000
現金は通貨代用証券、受取配当金は営業外収益となります。
債券とは?
債券とは何か?を説明していきます。
債券には満期日があり、満期日にお金が返還されます。また、保有している間は利息(利金)がもらえます。
例えば「B投資家は、5年後に満期となる額面100万円のA社社債(利息は年利2%)を、100円あたり99円で購入した」ら、B投資家は、
- 5年間にわたって毎年2万円の利息を受け取り
- 5年後には額面通りの100万円が返還されます。(これを”償還”という)
つまり、B投資家からしたら「A社に対する貸付金」と同じであり、A社からしたら「B投資家からの借入金」と同じとなります。また、B投資家は、満期日を待たずして当該A社債を売却することもできます。
そして、債権を保有していると利息がもらえます。
例えば、「保有しているA社の社債について利息2万円が当座預金に支払われた」ら
当座預金 20,000/有価証券利息 20,000
有価証券利息は営業外収益です。利息は営業外。
会計上の分類について解説
会計上の分類は、4分類・5勘定科目存在します。その説明をする前に前提条件としてこのお話↓
企業は有価証券を購入することがあります。
では何のために買うのでしょうか?例えば、
- 儲けたいから!(売買で儲けたい、保有して配当金・利息で儲けたい)
- 他者を支配したいから!(子会社にしたい、関連会社にしたい)
などが理由として挙げられると思います。
そして、この「何のために買うのか?」が会計学では非常に重要なポイントとなります。
なぜなら異なる会計処理(仕訳)を適用するからです。会計学では、「買う目的」別に有価証券を大きく4つに分類します。
①時価の値上がりを期待して(短期間での)売買で儲けることを目的に購入した株式・債券のことを
→「売買目的有価証券」と言います。
②満期まで保有し続けることを意図して購入した債券(基本的には利息で儲ける目的)のことを
→「満期保有目的債券」と言います。
③他者を子会社や関連会社にするために購入した株式のことを
→「子会社株式」「関連会社株式」と言います。
④上記3つのどれにも当てはまらない株式・債券(他者と持ち合う株式、満期まで保有する意図があるわけではない債券など)のことを
→「その他有価証券」と言います。
それぞれ詳しく解説していきます。
売買目的有価証券
一つ目は「売買目的有価証券」です。
(時価の値上がりを期待して)売買で儲けることを目的に購入した株式・債券のことを指します。(通常は短期間での売買を想定しています)
イメージとしては株式が先行しがちですが、債券も対象です。(債権にも時価があるものはある)
以下、数値例です↓
「✕2年4月1日、A社社債(額面100万円、✕2年4月1日発行、満期5年、利払日3月31日、クーポンレート2%)を@95円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った」
近い将来に売却して儲けるために購入した場合、仕分けはこうなります。
売買目的有価証券 950,000/当座預金 950,000
満期保有目的債券
二つ目は、「満期保有目的債券」です。
満期まで保有することを目的に購入した債券のことを指します。(通常は利息で儲けることが目的となります)
もちろん株式は対象となりません。なぜなら株式には満期がないからです。
以下、数値例です↓
「✕2年4月1日、A社社債(額面100万円、✕2年4月1日発行、満期5年、利払日3月31日、クーポンレート2%)を@95円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った」
(利息をもらう目的で)満期まで保有する目的で購入した場合、仕分けはこうなります。
満期保有目的債券 950,000/当座預金 950,000
子会社株式・関連会社株式
三つめは、「子会社株式」「関連会社株式」です。
他者を子会社や関連会社にするために購入した株式のことを指します。
厳密な定義ではありませんが、他者の発行済株式の
- 過半数を取得しているのなら、子会社
- 20~50%を取得で、関連会社
と分類します。
例えば、A社の発行済み株式が10万株あるとして、
とある企業が50,001株以上保有している場合はA社は子会社、
とある企業が2万株~5万株保有している場合はA社は関連会社となります。
以下、数値例です↓
「✕2年5月1日、A社の議決権付株式10万株を5億円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った」
A社の発行済の議決権付株式数は12万株であり、グループ化(支配)目的で購入した場合、仕分けはこうなります。
子会社株式 500,000,000/当座預金 500,000,000
A社の発行済の議決権付株式数は30万株であり、グループ化するために購入した場合、仕分けはこうなります。
関連会社株式 500,000,000/当座預金 500,000,000
その他有価証券
四つ目は、「その他有価証券」です。
上記3つのカテゴリーのどれにも当てはまらない有価証券のことを指します。
例えば、持合株式や、営業見合い目的株式や、満期まで保有する意図がない債券などが該当します。
以下、数値例です↓
「✕2年4月1日、A社社債(額面100万円、✕2年4月1日発行、満期5年、利払日3月31日、クーポンレート2%)を@95円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った」
特に短期売買で儲ける目的も、満期まで保有する意図もなく購入した場合、仕分けはこうなります。
その他有価証券 950,000/当座預金 950,000
まとめ(練習問題)
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は”有価証券”についての解説記事を書きました。簿記を学習中の方の参考に少しでもなったら幸いです。
最後の最後に、練習問題やってみましょう。簡単に回答できる形式ですのでサクッとやってみてください。
Q1:他者が発行する株式を取得したものは、法的に( )という立場を獲得する。
A1:株主
Q2:債権の満期日に額面金額が投資家に返還される。これを( )という。
A2:償還
Q3:発行する債券の表面利率(クーポンレート)が市場利子率よりも高い・低いことによって発行条件が有利・不利になることを、発行価格を高くする・低くすることで調整することを( )という。
A3:金利の調整
Q4:「受取配当金」や「有価証券利息」は、報告式のP/Lではどこに区分表示される?
A4:営業外収益
Q5:売買目的有価証券に分類されるのは株式のみであり債券は含まれない。〇か✕か?
A5:✕ 売買目的で保有する債権も当然含まれます。
Q6:満期保有目的債券に分類されるのは債権のみであり株式は含まれない。〇か✕か?
A6:〇 株式には「満期」はない。さらに、そもそも満期保有目的「債券」。
Q7:時価のある株式(上場株式)を、営業見合いで取得した場合、「売買目的有価証券」として分類される。〇か✕か?
A7:✕ あくまでも目的で分類。時価があるかないか(上場しているかどうか)ではない。良好な関係を築くために(自社の商品を買ってもらうなどのために)取引先の株式を購入することを「営業見合い株式」という。
これが解ければ、有価証券の全体像はバッチりです!
私も学習中で、今回の記事を書く際の参考にさせていただいた簿記系ユーチューバー”ふくしままさゆき”さんのリンクを貼っておきます。
この方の動画は、簿記を単なる暗記と捉えるのではなく、本質から「なぜそうなのか?」というところまで解説してくれていて深くまで理解しながら学ぶことができます。
今の時代、YouTubeで無料でこのような有料級の動画を見れてしまうというのは本当にありがたいことです。存分に活用していきたいものですね。
書籍も出しているみたいなので併せてチェックしてみてください↓振りじゃないですよ~?←動画見てくれればわかります。
今年中に2級とりたいな。(独り言)
ではまた。
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